「都心がね、思ってたよりはるかに走りやすくて良かったよ、そのうち軽いフォールディンバイクでも手に入ったらいっしょに行こう」と言ってみたら、「えっ本当?」とにわかに目を輝かす。人ごみが苦手な私の性質をよく知っているので、そう言うのも無理はない。「そうそう、青山墓地も通ったな」と、なおいっそう自慢気に私は言ってみる。「あそこに昔は、うちのお墓があったの」と、さらっといきなり東京人に戻ったかのように彼女は答え、思わずこちらは固まる。
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そうだっけ、俺といっしょになる前のこいつの本籍は、父方の祖父が住んでいた渋谷にあったのだった。やれやれ。ともあれ、4半世紀も前に見ていた東京都心、破片や断片のようにきれぎれだった私の中の東京が、どうやら再活性化して再編成されつつある。なにもそれ自体は完成されたジグソーパズルのような画像に纏め上げられることは決して望んではいないようではあるが。それも、もう少しは努力して読み解いてみたらどうだ、と言っているようでもある。それは東京が変わったからではない。どちらかといえば大都市を避けていた私が態度を変えたので、世界が違って見えるのだろう。それを教えてくれたのは、借り物のフォールディングバイクである。オーナーのSさん、UKブロンプトン、ありがとう。そしてていねいにガイドしてくださったDさん、撮影を手伝ってくれたRさんにも大感謝である。