小洒落たお店。ガラガラと引き戸を開ける。小さな店にはカウンター席が一〇足らず。端っこの四席は既に先客が食事を始めている様子だが、半分近くは空席がある。と、そこに暖簾の奥から女将らしき女性が満面の笑みで現れる。「ようこそお。おいでやすう」。「すみません。いいですか」。真ん中の空いた席に座ろうと、席に目を向けると、「ご予約のお名前いただいてよろしやろか」。「いえ、予約してないんですけど」。「そうどすかいなあ。
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悪いことどすなあ。今日はもうご予約でいっぱいどすねん。すんまへんなあ」。「そうですかあ。それは残念です。美味しいと噂を聞いてお伺いしたんですが」。「なんせ狭い店でっさかいに。悪いことですなあ」。店の名刺を渡しながらまたひとこと。「ほんまに悪いことでしたなあ。おおきに。また、よろしゅうおたの申します」と、まあ、ざっとこんな感じだ。